交通事故で眼を破損!後遺障害は認められるの?

思いもよらない交通事故に遭遇した際、何らかの衝撃によって眼球を損傷することがあります。

治療により完治すれば問題ありませんが、怪我の状況や程度によっては、後遺症を残してしまう可能性も。

そこで今回は、眼の怪我で後遺症が発生したら、後遺障害は認められるのかについてお話ししていきます。

「後遺症」と「後遺障害」の違いとは?

まず、第一に理解しておきたいのが、後遺症と後遺障害の違いです。

そもそも一般的に後遺症と呼ばれるものは、治療を続けても改善されないケースです。

続いて後遺障害ですが、こちらは治療を続けても将来的に改善されないかつ、労働能力の喪失や後遺障害認定等級に該当しているケースを指します。

つまり、治療によって改善されない後遺症が残ってしまっても、後遺障害認定等級に該当していないものは、後遺障害として認められないんですね。

したがって、後遺障害の賠償は対象外となります。

目の後遺障害の種類とは?

目の後遺障害は、大きく分けて以下の4つに分類されています。

・視力障害(視力低下や失明など)
・調節機能障害(目の調整力の異常など)
・運動障害(筋肉の麻痺など)
・視野障害(半盲症や視野狭窄など)

後遺障害認定の等級は、次の明確な診断基準によって定められます。

視力障害の認定基準

視力障害の認定は、眼鏡またはコンタクトレンズを使って矯正した視力により実施されるため、裸眼での測定ではありません。

矯正視力で1〜13等級のいずれかに当てはまれば、後遺障害が認定される可能性が高まるでしょう。

・1級:両眼失明
・2級:両眼視力が0.02以下
・3級:左右いずれかの片眼が失明した状態で、もう片方の視力が0.06以下
・4級:両眼視力が0.06以下
・5級:左右いずれかの方顔が失明した状態で、もう片方の視力が0.1以下
・6級:両眼視力が0.1以下
・7級:左右いずれかの片眼が失明した状態で、もう片方の視力が0.6以下
・8級:片眼視力が0.02以下
・9級:両眼視力が0.6以下
・10級:片眼視力が0.1以下
・13級:片眼視力が0.6以下

調節機能障害の認定基準

調節機能障害の認定基準は、片眼を基準に行われます。

また、両眼とも事故によって調節機能に障害が出た際には、年齢別の調節力を基準にして判定が行われるんですね。

調節機能に障害があると診断された際に、認定される可能性がある等級は以下の2つです。

・11級:両眼に著しい調整機能障害を残す
・12級:片眼に著しい調整機能障害を残す

なお、年齢が55歳以上に該当する方や、通常の調節力が1.5D以下に該当する場合は、後遺障害認定は行われません。

運動障害の認定基準

人間の眼球には、6つの筋肉が存在します。

この筋肉に麻痺が発生してしまうと、ズレが生じてしまい、視野が狭くなったり、物が二重に見えてしまったりすることがあるんですね。

このような運動障害を引き起こしてしまった際は、医師による検査を実施し、以下のような症状が確認できると、該当する等級の後遺障害が認定されます。

・10級:正面視に複視を残す状態
・11級:両眼の眼球に対し著しい運動障害を残す状態
・12級:片眼の眼球にのみ著しい運動障害を残す状態
・13級:正面視以外に複視を残す状態

視野障害の認定基準

視野に障害が残ってしまうと、見える範囲が狭まってしまう可能性があります。

このような状態が引き起こされているときには、視野の測定を行い、以下の2つの基準によって後遺障害等級が認定される仕組みです。

・9級:両眼に「半盲症」「視野狭窄」「視野変状」が残っている
・13級:片眼に「半盲症」「視野狭窄」「視野変状」が残っている

なお、「半盲症」とは視野が半分しか見えていない状態を指します。
「視野狭窄」は、視野が狭くなったと感じたり、頭痛がしたりすることもあるでしょう。

「視野変状」は、これらの症状をまとめた総称となり、視野欠損なども当てはまります。

まとめ

交通事故によって眼球を損傷した際には、後遺障害等級認定の基準に該当しているかが大きな鍵を握ります。

眼はこれから先の人生に大きく関わる重要なパーツとなるため、病院の診断に納得がいかない際には、セカンドオピニオンやサードピニオンを検討することも大切ですね。

公開日:
最終更新日:2020/09/03